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津波の高さ再現、従来の2倍に。南海トラフ地震の実験も可能

鹿島が「マルチ造波水路」を更新
 鹿島は15日、同社技術研究所(東京都調布市)の海洋・水理実験棟内の水理実験施設「マルチ造波水路=写真」を更新したと発表した。これにより、再現可能な津波波形の高さが従来比2倍になるなど、実験性能の大幅な向上で再現性の高い水理実験が可能になる。

 津波造波・環流装置のポンプの能力を高め、100分の1縮尺実験で最大20メートル相当の津波高を再現できる。東日本大震災で観測された二段型(コブ型)波形の再現実験や、将来的な発生が懸念される南海トラフ地震の想定津波高による実験も可能。

 水路幅を従来の0・7メートルから1・2メートルに拡大したことで、これまでより大規模な模型による実験も行うことができる。同社では新施設を活用し、海洋・港湾構造物や津波防潮堤など陸上構造物への波の影響を把握。防災・減災技術に役立てる。
日刊工業新聞2016年2月16日建設面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 東日本大震災により地震だけでなく津波の破壊力に多くの人が驚き、恐怖を感じた。実際のところ、1000年に1度と言われる大津波に遭遇したら、全力で高い場所へ逃げるしか命を守る方法はないだろう。今後も南海トラフ地震の発生に伴う津波が懸念されており、東日本大震災の教訓を踏まえた防災・減災対策が欠かせない。  こうした中、鹿島が更新した水理実験施設は、南海トラフ地震で想定される津波高の実験を行える。海洋の構造物や臨海部分の建物への影響や作用なども把握できると言う。実験を積み重ねていくことで、津波に強い構造物の建設技術の確立が期待される。そういう意味でゼネコンの役割は大きく自負を持って取り組んでほしい。 (日刊工業新聞社編集局第二産業部・村山茂樹)

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