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X線検査で世界最高分解能、東レが開発したセル方式蛍光体パネルがスゴい

東レは、デジタルX線検査で世界最高分解能を実現できるセル方式によるシンチレータ(蛍光体)パネルを開発した。画素ごとに隔壁を設けるセル方式で厚み400マイクロメートル(マイクロは100万分の1)、線幅20マイクロメートルの隔壁を実現。溶接継ぎ手の放射線透過試験方法のJIS規格で最も厳しい基準を達成した。2024年に原子力発電所の配管検査や航空機部品検査などで新型シンチレータの実用化を目指す。

X線デジタル撮像は蛍光体を含むシンチレータパネルでX線を可視光に変換し、これをセンサーが検知することで画像データを得る。東レ独自のセル方式は蛍光体を区画し、可視光の広がりを抑制し高分解能を実現する。隔壁の厚みを増し、線幅を狭めることで性能を高める。

これまで厚みで100マイクロメートル程度だったが、パターン形成するネガ型フォトリソグラフィ技術で透過性能などを向上させたことなどにより同400マイクロメートルに拡大した。線幅は増したものも細幅化を進める。これにより従来適用できなかったJIS規格検査でのデジタル化や、リアルタイムでの欠陥検出、人工知能(AI)による欠陥検出支援などを可能にする。

原発や航空機分野のほか、マンモグラフィーによる乳がん検診で微小石灰化の早期発見にも応用できる。2030年に年1万枚規模の販売を見込む。

日刊工業新聞 2023年03月10日

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