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高温で蓄熱して低温で放熱、産総研がスゴい新合金開発

高温で蓄熱して低温で放熱、産総研がスゴい新合金開発

蓄熱合金の利用(イメージ=産総研提供)

産業技術総合研究所の中山博行主任研究員と藤田麻哉チーム長、杵鞭義明主任研究員は、高温で蓄熱して低温で力を加えると放熱する合金を開発した。チタンニッケル合金の相変態を利用する。氷のように融解や凝固を利用すると吸熱と放熱の温度が同じになる。新合金は放熱のタイミングや温度を制御できる。蓄熱材としての開発を進める。

廃熱などを蓄え、周囲が冷えてから温めたいタイミングで放熱するチタンニッケル合金を開発した。この合金は高温相と低温相で結晶構造が変化する。60度Cで蓄熱させ、環境を13度Cに冷ましてから120ニュートンの力を加えると22度Cに温まる。

この相変態の温度を合金内部の残留応力で制御できる。熱処理の温度を変えた合金では、80度Cで蓄熱させ42度Cで放熱させられた。蓄熱量は合金1グラム当たり20―24ジュールと見積もられた。電気自動車ではモーターからの排熱を吸収し、低温環境で電池を温めるといった使い方を提案する。移動体は重量当たりの蓄熱量や動作温度、部材の形状などの条件があるため用途に応じて最適化を進める。

日刊工業新聞 2023年03月10日

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