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丸紅が25年に「空飛ぶクルマ」商用運航、運賃はどうなる?

丸紅が25年に「空飛ぶクルマ」商用運航、運賃はどうなる?

丸紅が業務提携関係にある英バーティカル・エアロスペース・グループの「VX4」(イメージ)

丸紅は2025年に「空飛ぶクルマ」の商用運航を関西地域で始める。運賃は実証実験を実施した大阪ヘリポート(大阪市此花区)―和歌山県那智勝浦町間で、参加者が妥当とした平均の片道2万9730円を参考に、機体スペックや運航コスト、需要などを精査した上で決める。複数ルートを運航する計画で、関西以外に全国でもルート調査を進めている。観光用からスタートし、医療や災害、過疎地対策などの活用を検討していく。

丸紅が業務提携関係にある英バーティカル・エアロスペース・グループの「VX4」を使用する。条件付き予約注文で合意していた最大200機の内、25機について一部機体代の支払いを実行し、購入予約権取得しており、順次導入する。

丸紅は「既存の交通インフラを享受できていない地域に導入を進める」と観光以外にも導入する方針だ。空飛ぶクルマの離着陸拠点や充電施設などについては丸紅グループで整備する。現在、和歌山県那智勝浦町などと空飛ぶクルマの導入に向けた協議を進めている。

同社はバーティカル・エアロスペースと共同で22年12月から23年1月に空飛ぶクルマの事業性を調査する実証実験を実施。機体が完成していないことから、ヘリコプターにより陸路でアクセスが不便な大阪ヘリポート―和歌山県那智勝浦町の宿泊施設を往復した。

ヘリによる移動時間は約50分間だが、空飛ぶクルマは約30分間に短縮できるという。参加者の94・2%が移動時間などに満足したほか、妥当とした運賃は参加者の平均で、丸紅が想定していた片道2万円(ヘリの場合は17万円)よりも高かった。そのため事業として「ポテンシャルがあることが確認できた」(丸紅)と判断して事業化する。

一方、25年に開かれる大阪・関西万博で同社は空飛ぶクルマ運航事業者に選定。会場内ポートと会場外ポートをつなぐ2地点間で、バーティカル・エアロスペースのVX4を運航する。


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日刊工業新聞 2023年03月10日

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