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スバル社長に昇格、大崎篤氏は「部下からすると面倒くさいやつ」

スバル社長に昇格、大崎篤氏は「部下からすると面倒くさいやつ」

5年ぶりの社長交代。握手する大崎次期社長㊨と中村社長

SUBARU(スバル)は大崎篤取締役専務執行役員(60)が社長に昇格する人事を決めた。中村知美社長(63)は代表権のない会長に就く。社長交代は5年ぶり。6月の株主総会後に就任する。中村氏は2017年10月に発覚した無資格者による完成車検査問題を受けて社長に就任。社内の組織風土改革や品質改革に注力し、信頼回復に努めた。企業体質や利益構造にも改善の兆しが見えるタイミングで交代する。

今後求められるのは電動化の推進だ。中村氏は大崎氏について、開発や商品企画、品質保証、製造など幅広い部署で経験を積んだことを評価。3日に開いた会見で中村氏は「大崎氏はモノづくりに知見があり、電動化対応にも良い判断をしてくれるのでは」と期待した。主戦場である米国市場で電気自動車(EV)戦略を加速する。

中期経営ビジョン「STEP」が5年間の区切りを迎え、自動車業界が大変革期にある中、新たな体制に移行する。近く新たな中期経営計画を発表し、方向性を示す。大崎氏は「環境の変化に柔軟性を持って挑む。そして一定の方向が見えてきたら一気に拡張する」と強調した。

【略歴】大崎篤氏(おおさき・あつし)88年(昭63)東京農工大院工学研究科修士修了、同年富士重工業(現SUBARU)入社。16年執行役員、18年常務執行役員、19年専務執行役員、21年取締役専務執行役員。東京都出身。

素顔/スバル社長に就任する大崎篤(おおさき・あつし)氏 現場を大事に人望厚く

「とにかく現場に足を運び、自分の目で判断したい。部下からすると面倒くさいやつだ」と苦笑い。座右の銘は、自らの体験を通して会得するという意味の「冷暖自知」。中村社長からも「現場を大事にしており、社内外からも人望が厚い」との人物評だ。

1988年の入社からユニークなキャリアを歩む。10年余りパワーユニットの開発に携わった後、会社を休職し、8年間労働組合の専従役員を務めた。「経営陣と経営課題について激論を交わしたことはキャリアの中でも特に必要な経験だった」と振り返る。

完成車検査に関する不正が発覚した17年には品質保証本部長を担当。調査各種対策や再発防止策の策定に奔走した。直近では製造本部長として電動化を踏まえた国内の生産体制の再編計画を主導した。

同社がテストコースを有する栃木県佐野市はラーメンが有名。ラーメンの食べ歩きが息抜きになっている。(増田晴香)


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