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セゾン・ベンチャーズがフィンテック狙いで8社に投資、その効果は?

 クレディセゾンのベンチャーキャピタル子会社のセゾン・ベンチャーズは、2015年6月の設立以降8社に投資した。法人向けクレジットカードやビッグデータ活用などでシナジーを見込み、1社当たり数千万円を出資。これまでの投資額は3億円弱となった。今後は仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンやデータ解析、人工知能(AI)に関連する企業への投資も検討する。

 例えば、中小企業向け経費精算サービスを提供するクラウドキャストに出資。同社のサービスとセットで企業に法人カードを提案することで、付加価値を高めるのが狙い。

 また、農業生産者と飲食店をつなぎ、配送プラットフォームを提供するプラネット・テーブルへの出資を通じ、農業生産者への少額・短期の融資を狙う。

 ほかにも、将来の決済のあり方を変える可能性を見込み、指紋を用いた生体認証による決済システムを実用化したリキッドや、ビッグデータ活用を期待して洋服のレンタルをするエアークローゼットに出資。エアークローゼットの主な顧客は20―30代の女性で、クレディセゾンも同様の顧客層の取り込みを狙っている。

 クレディセゾンは金融とITの融合を指すフィンテックを見据え、創業間もないシード・アーリーステージの企業に投資するセゾン・ベンチャーズを設立。今後もAIやデータ解析など投資対象先企業を広げ、最新のフィンテック情報を得るとともに自社とのシナジーを目指す。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
ファンドの対になる事業部門がクレディセゾンのネット事業部インキュベーション部。ネット事業部では年間数百社に上るスタートアップ企業とコンタクトを持っているという。投資先の一つ、Kaizen Platformへは当初、協業の可能性を探るためにアプローチしたという。しかし、ビジネスモデルを精査するうちに、社内で使っても効果が出そう、ということになりネットビジネスの一部で利用し始めたとか。 クレディセゾンはカード利用が伸び手数料収入が伸びている。みずほ銀行から買い取った約500億円の金庫株もあり、カード業界の中でもなかなか面白い存在だ。

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