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マツダ、メキシコで「スイング生産」展開。現地部品メーカーの実力底上げ

日本・タイに次ぐ3カ国目。まずサプライヤー2社から現場改善を支援
マツダ、メキシコで「スイング生産」展開。現地部品メーカーの実力底上げ

メキシコから米国に出荷されるマツダ車=同社提供

 マツダは取引先部品メーカーの現場改善を手助けする活動をメキシコで始めた。部品コストの低減や品質の安定化が目的。日本とタイではすでに行っており、3カ国目となる。マツダは4月からの中期経営計画でメキシコ工場の効率向上を生産部門の課題の柱に掲げる。部品メーカーを含めた現地工場のレベルアップにより、日本と海外の工場が相互補完できる体制を目指す。

 改善支援活動は、日本から派遣した専任の担当者1人、および現地のスタッフ2人とで始めた。アキシートとヒロテックメキシコのサプライヤー2社で開始。さらに4月下旬以降はもう2社を加えた4社に対象を広げる。

 日本では「J―ABC(アチーブ・ベスト・コスト)活動」と名付け、2004年以降実施してきた。マツダの生産技術担当者が取引先部品メーカーに出向き、現場改善に協力して取り組んできた。コストや効率、品質の改善に加え、「モノ造り革新」と呼ぶマツダの新しい生産方式への対応を進めてきたという。

 タイでも13年に始め部品メーカー9社で改善活動を進める。メキシコでは「M―ABC活動」と名付けた。

 マツダのメキシコ工場は14年1月に稼働した最新工場。当初は安定稼働せず、生産台数がなかなか伸びなかった。年間25万台の生産能力に対し、14年度実績は14万台、15年度計画は23万台を見込む。さらに18年度までの中計で、メキシコ工場の生産効率を日本と同等レベルまで高める目標を掲げる。

 マツダは、世界各地の工場の生産能力を、需要に応じて相互に割り当てる「スイング生産」を目指している。現地部品メーカーの実力底上げはそのために不可欠と見て、タイに続いて支援に乗り出した。
日刊工業新聞2016年2月12日 自動車面
清水信彦
清水信彦 Shimizu Nobuhiko 福山支局 支局長
 ここにあがっている企業以外にも、マツダにくっついてメキシコに出ているサプライヤーはあります。マツダはトヨタなどに比べて圧倒的に海外生産の経験が少ないため、サプライヤーにとっても海外進出は手探り、おっかなびっくり、という状況であります。  メキシコには今度またトヨタが工場を建設するため、せっかく育てた良質な人材がそっちにいってしまわないかと戦々恐々としているようです。  また、メキシコは伝統的に日産が強く、サプライヤーも日産系が実力を蓄えているため、広島のサプライヤーは日産系の現地法人経由でメキシコのマツダと取引するという状況も生まれているようです。  

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