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コンテナ船が大幅悪化、海運3社が経常益見通しを下方修正

コンテナ船が大幅悪化、海運3社が経常益見通しを下方修正

コンテナ船事業は運賃下落や荷動きの鈍化が響く見込み(イメージ)

日本郵船商船三井川崎汽船の海運大手3社が2023年3月期の連結業績見通しでそろって経常利益を下方修正した。依然として3社とも過去最高を更新する高水準の利益を見込むものの、コロナ禍の2年間の業績をけん引してきたコンテナ船事業の23年1―3月期の業績が大幅に悪化すると予想する。外航海運は岐路に立つ。

3社の業績はこれまで、共同出資した持ち分法適用のコンテナ船事業会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」に支えられてきた。コロナ禍で混乱したコンテナ船市況の高騰によってONEが好業績を上げ、3社がその恩恵を得ていた。

ところが22年夏ごろを境に、欧米の需要の減退と港湾の滞船の解消によって市況が悪化し始めており、23年3月期は「(上期と下期で)かなり様相が大きく変わった」(日本郵船の丸山徹執行役員)格好だ。

3社とも上期の好業績に支えられ、いずれも過去最高益を更新する見通しに変更はない。ただ、下期の業績悪化と想定為替レートを円高に修正したことにより、前回予想より通期の経常利益を日本郵船は300億円減の1兆800億円、商船三井は150億円減の7850億円、川崎汽船は500億円減の6600億円にそれぞれ下方修正した。

当然ながら、「下振れではあるが、ある意味では想定の範囲」(川崎汽船の山鹿徳昌常務執行役員)とコロナ禍での2年間の歴史的な好業績が永続的に続かないことは3社とも覚悟していた。

問題はコンテナ船市況の低迷を織り込んだ23年1―3月期の利益水準が今後も続くかだ。例えば日本郵船の同期の経常利益は741億円の予想と、23年3月期全体の15分の1程度にとどまる。

商船三井の梅村尚常務執行役員は「今年になって(運賃市況の)低下は底を打った感じがする」と述べるものの、インフレ進行で世界経済の減速懸念が高まる中、見通しが難しくなっている。

日刊工業新聞 2023年02月06日

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