物材機構が若手研究者の年俸70万円増額、賃上げ機運は国立研究機関にも広がるか
物質・材料研究機構は若手研究者の年俸を約70万円増額する。物材機構で研究する大学院生の年俸も増額し、修士課程の大学院生は年俸が2・2倍になる。1月末に理化学研究所がポスドク研究員などの給与増額を公表するなど、賃上げ機運が国立研究機関に広がりそうだ。
世界から優秀な若手を集める若手国際研究センター(ICYS)の年俸を535万円から605万円に引き上げる。任期は最長5年間で年間200万円の研究費を支給する。2023年4月から給与に反映する。物材機構はICYSで国内最高ランクの年俸を表明しており、24年度にもう一段、年俸を引き上げる調整を進めている。
ICYSは若手のキャリア形成を支えることが目的。そのため着任3年半の段階で定年制への移行審査を実施し、審査に通らなかった場合も最長5年間研究できる。若手は1年半かけて次のポストを探せる。若手は任期の1年前には次のポストを探し始めるため任期が短いと時間のかかる研究を選べなかった。
大学院生は博士課程が年俸246万円と8%増。日本人の修士課程は年俸193万円と2・2倍にする。物材機構は経済的に支援し、学生が専門性を磨ける環境を整える。
政府は25年度までに年間180万円以上を受給する博士学生を従来の3倍の2万2500人に増やす計画。国の大学院生支援策の拡充で、国研が優秀な若手を集めるにはより厚遇する必要性が出てきている。
日刊工業新聞 2023年02月07日