屋根置き太陽光電力を地上設置より高く買い取る経産省の思惑
経済産業省は2024年度から、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)で、工場や倉庫の屋根に設置する太陽光発電による電気を、地上設置よりも高く買い取る。平地や山間地など地上に設置できる適地が少なくなっており、屋根の設置を後押しして、太陽光の導入拡大を図る。
出力10キロワット以上の事業用太陽光発電が対象。1キロワット時当たり12円で買い取る方向。地上設置は9・2円とする。3月にも買い取り価格を正式に決める。
現在のFITでは、地上設置と屋根設置の太陽光発電で、買い取り価格を同じにしているが、区分する。屋根設置の方が工事費などのコストがかさむため、違いを反映する。経産省の分析によると出力10キロワット以上では工事費のほか、太陽光パネルで屋根設置の方がコストが高い。
また出力10キロ―50キロワットと50キロワット以上で区別した買い取り価格を設定。結果的に価格差が生じた場合、適切な事業規模での導入拡大が阻害されるとして、10キロ―50キロワットと50キロワット以上と区別せず、10キロワット以上で一律に買い取り価格を設定することにした。
経産省の審議会で、FITや市場価格連動型制度(FIP)において、設置の形態に基づくメリハリをつけた導入促進策の検討を進めるとの方向性を示していた。
国内では12年のFIT導入以降、太陽光発電の導入が拡大。国土面積当たりの導入容量は主要国の中で最大、平地面積では世界最大となった。一方、地域と発電事業者とのトラブルも増加している。
政府は電源構成に占める再生可能エネルギーの比率を30年度に36―38%とする目標を掲げている。太陽光をその中核に位置付けており、14―16%とする計画。20年度は7・9%だった。
日刊工業新聞 2023年02月02日