宇宙ビジネス参入へ、企業がアピールする技術たち
「2023国際宇宙産業展 ISIEX」が1日、東京・有明の東京ビッグサイトで開幕した。宇宙ビジネス参入を目指す企業が自社をアピールする中で、月面開発の取り組みが目を引いた。
日揮ホールディングス(HD)の海外事業子会社日揮グローバル(横浜市西区)は、月面で水素や酸素を供給できるようにするプラントを仮想現実(VR)で体験できるデモを公開した。
月で生活するには、月にある水を電気分解して水素と酸素に分け、水素を燃料に活用する必要がある。日揮グローバルはプラントの設計・調達・建設(EPC)の知見を生かし、月面開発に参画して全体を取りまとめる役割を担うことを狙う。「バラバラの技術をつなぎ合わせるのはプラントと似ている」(担当者)とみる。
VRではローバー(探査車)に乗り、開発されたプラントを見学する疑似体験ができる。資料だけでは構想をイメージしづらいため、用意した。
横河電機は千代田化工建設と共同で2027年をめどに月の水を探査する計画で、開発した探査装置を披露した。自社の計測器を応用して開発し、月面のどこに水があるか調査する。探査装置が砂から水を計測する実演を実施した。
黒須聡宇宙ビジネス・ディベロップメント・エグゼクティブ宇宙事業開発室長は「来場者からニーズや意見を聞けた」と手応えを感じた様子だ。
中小企業がアピールする姿も。山口県航空宇宙クラスターは、会員3社が共同開発した製品を展示した。ロケットと人工衛星をつなぐアルミニウム製リングで、切削加工だけでなく板金加工も採用して板圧を薄くした。
クラスター事務局のやまぐち産業振興財団(山口市)の担当者は「部品加工など具体的な商談につながれば」と期待を示した。
本業のノウハウを生かそうとする大手から、機械加工などの新規分野と位置付ける中小まで、宇宙に可能性を見いだす各社の取り組みが続く。