パネル破損被害は7万5000世帯分、大雪が太陽光発電に与える深刻な影響
製品評価技術基盤機構(NITE)は、積雪量が多い時期に太陽光発電設備の事故が増加するとの分析結果をまとめた。2018―21年度の4年間で、氷雪による破損被害は、住宅用ソーラーパネル約7万5000世帯分に相当する3万キロワット超に達した。特に大雪が観測された年に急増している。今冬も一部地域で大雪が発生していることから、点検や除雪など未然防止の対策を呼びかけている。
氷雪による破損事故を件数で見ると、18―21年度に43件報告された。東北地方や北海道を中心に12月から4月の間に発生。2月が最も多くなっている。特に全国で記録的な大雪が観測された20、21年度は多発しており、それぞれ28件、14件だった。
太陽電池モジュールに積もった雪の重みで、架台が破損したと見られるケースが多い。氷雪による破損事故の約8割に架台の損傷があった。
NITEは、事故の未然防止には、早期の点検や除雪が重要だとしている。例えば除雪計画の作成やマニュアル化を行い、月間、週間天気予報や発電所の監視結果を参考にして、架台やパネル、パネルの軒下などの予防点検や除雪を行う。すでに大雪が発生している地域では、可能な範囲で積雪後の点検や除雪を強化する。
また、架台の設計基準を満たした上で、地域の気象条件に応じて、架台の設計強化、パネル傾斜角や設置高度の増加などをする。パネルと架台を固定する金具を、雪の滑落を妨げない形状に交換することも有効だという。
日刊工業新聞 2023年02月02日