超微量ガスを素早く識別、シャープがイオン移動度分析装置を開発
シャープは、大気中で電子を放出できるデバイスを搭載したイオン移動度分析(IMS)装置を開発した。大気中の超微量のガス成分を素早く識別できる。真空中でないと難しいとされる大気中での安定した電子放出を、同社が複合機で培った帯電デバイス開発の知見を応用して可能にした。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と呼気分析システムへの応用開発を進め、まず動物用として早期実用化を目指す。
開発したIMS装置は、分析対象のガスを大気中電子放出デバイスに取り込み、イオン化する。成分ごとに分離した分子が検出部まで進む速度で分析する。同装置を用いて酢酸の成分を分析した場合、0・1ppb(ppbは10億分の1)の超微量な分子を検知できる。従来のIMS装置はオゾンなど副生成物が出る放電方式が主流で、精度良く分析できない課題がある。
日刊工業新聞 2023年01月25日