採掘現場を自動化、住友鉱山が鹿児島の鉱山に投入した「自動走行重機」の仕組み
住友金属鉱山は、鹿児島県伊佐市の菱刈鉱山で金鉱石の積み込みや運搬を行うスウェーデン社製地下ロードホールダンプ(LHD=写真)の自動走行と地上遠隔操作システムを導入した。重機の自動化やリモート化でデジタル変革(DX)を進め、安全性向上やコスト削減を目指す。海外では坑内掘(地下にトンネルを掘って鉱石を採掘する)鉱山で自動走行式LHDの活用事例はあるが、菱刈鉱山のような小断面坑道の鉱山現場での導入はアジア初という。
金鉱山の坑道の断面積は銅鉱山などに比べて狭く、重機のサイズが制限されるなど坑内掘鉱山特有の制約や課題がある。そこで住友金属鉱山は、地下約100メートルの坑内にWi―Fi(ワイファイ)の敷設工事をし、自動運転に必要な機器を導入。調整作業を2022年11月に完了し、12月に現場での稼働試験を開始した。重機を遠隔操作するコントロール室は坑道の出入り口付近に設置した。
同社は23年度以降も坑内のWi―Fi敷設工事を進め、他の重機の自動化や生産管理システムの試験、導入も順次行う予定。これにより菱刈鉱山のサステナビリティー(持続可能性)を重視した長期安定操業体制の確立を目指す。
日刊工業新聞 2023年01月26日