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日野自動車は首位陥落…いすゞが10年ぶり首位のトラック販売市場で続く難局

11年ぶり6万台割り込む
日野自動車は首位陥落…いすゞが10年ぶり首位のトラック販売市場で続く難局

いすゞの主力の大型トラック「ギガ」(同社提供)

日野自動車はエンジン不正問題による車両の出荷停止が影響し、2013年から9年間維持してきた普通トラック(積載量4トン以上の大型と中型トラック)年間販売台数首位の座をいすゞ自動車に明け渡した。トラック業界関係者のまとめによると22年の販売シェアは、いすゞが36・1%、日野自が27・8%だった。ただ、いすゞや三菱ふそうトラック・バスも半導体不足が足かせとなり、共に販売台数が前年を割り込んだ。各社は半導体を安定調達できる状況ではなく、難局が続きそうだ。(石川雅基)

「全車種で顧客の要望に応えられず、生産台数イコール販売シェアとなる状況が続いた」。いすゞの片山正則社長は、バックオーダー(受注残)の対応に追われた22年の事業状況をこう振り返る。半導体不足でトラックを計画通りに生産、販売できず、納期が長期化。「顧客や架装メーカーにも協力してもらい影響を抑えることに終始した。ここまでの長期化は想定外だった」と話す。

22年の普通トラックの販売台数は、いすゞが前年比30・2%減の2万190台で、日野自が同51・4%減の1万5547台。三菱ふそうが同22・7%減の1万529台と続く。4社合計は同33・3%減の5万5874台で大幅に減少。6万台を割り込むのは11年以来、11年ぶりとなる。

上位3社が苦戦を強いられる中、ボルボ・グループ傘下だったUDトラックスは、他の国内トラックメーカーと異なる供給網で半導体を調達。新車効果も加わったことで同4・3%増となり、3位の三菱ふそうに迫った。大型トラックでは同3・3%増の8957台で、日野自動車(8226台)、三菱ふそう(8587台)を超えた。ただ「注文が生産計画を超えているため、納期は遅れ気味になっている」(UD)という。

今後、トラックの供給不足の解消に向けて焦点となるのは、半導体の調達と日野自の出荷再開の見通しだ。いすゞの片山社長は「4月頃から(半導体の需給が)徐々に改善する」と見通しを話す。今春のトラックのモデルチェンジに合わせ、これまでとは異なるサプライヤーから半導体を調達するほか、パソコンなどに使う高性能な半導体の供給に余裕が出てくることで、車載向けも改善するとみているためだ。

日野自は22年3月期に国内で販売したトラック、バスの約4割に当たる車両で型式指定が取り消されている状況。ただ、11月に大型トラックの一部車両で型式指定を再申請し、立て直しに向けて一歩前進した。「当初の予定よりも審査に時間を要している」(国土交通省)ものの、近く再申請の結果が判明する見通しだ。

日野自の小木曽聡社長は「顧客に待ってもらっているので、型式指定を再取得できれば、すぐに出荷を再開したい」と話す。もっとも、22年3月期の国内販売の20%超はエンジンの型式指定が取り消されており、再試験に時間を要するため、影響の長期化は避けられない状況だ。

日刊工業新聞 2023年01月26日

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