ドコモなどが世界初の実証、成層圏下層から38GHz帯の電波伝搬
NTTドコモとスカパーJSAT、仏エアバスなどは、成層圏下層から大容量通信可能な38ギガヘルツ(ギガは10億)帯での電波伝搬実験に成功した。高周波数帯は雨滴の影響を受けやすい。雲や雨による電波減衰の影響を調べ、小雨程度なら通信できることを確かめた。高高度疑似衛星(HAPS)による被災地での通信環境構築などにつながる。
国際電気通信連合無線通信部門(ITU―R)がHAPS向けとする38ギガ―39・5ギガヘルツ帯を使い高度14キロメートルからの電波伝搬特性を評価した。晴れと曇り、雨の気象条件で電波の減衰量を測る。厚い雲を通過させても通信可能な電波強度を確保できた。この実証は世界初。HAPSや人工衛星を組み合わせ最適な通信網を設計する。
HAPSの航空機は定位置を旋回するため地上局側に追尾機能が必要になる。今回、追尾機能で電波強度が向上することも実証できた。刻々と変わる気象条件に対して複数の地上局を用意し、切り替えることで通信環境を確立する。
大規模イベントや災害時にも柔軟に通信を確保できるようになる。
日刊工業新聞 2023年01月25日