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日産が米旗艦セダン「マキシマ」の生産を終了する背景事情

日産が米旗艦セダン「マキシマ」の生産を終了する背景事情

マキシマの2020年モデル

日産自動車は2023年半ばに米国で旗艦セダン「マキシマ」の生産を終了する。半導体不足に伴う生産制約の影響もあり、ここ数年は販売が伸び悩んでいた。構造改革の一環として採算性の低い商品群を減らし、事業の選択と集中を進める。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)など電動車の開発や生産に経営資源を投入し、脱炭素化と持続的な成長の両立を図る。

日産はテネシー州のスマーナ工場でマキシマを生産している。主要な取引先に対し、23年8月に同車の生産を終了する方針を伝えた。在庫がなくなり次第、北米での販売も終了する。

マキシマは1981年に米国で発売。2代目以降も旗艦セダンとして最新技術を積極的に搭載し、上質な走りのスポーツセダンとしても人気を集めた。8代目となる現行車は15年に発売。排気量3500ccの高性能ガソリンエンジンの採用などで走行性能や安全性能に磨きをかけた。

調査会社のマークラインズによるとマキシマの米国販売は、過去10年間で17年の約6万8000台をピークに減少し、22年は約7000台に留まった。

一方、同社の主力セダン「アルティマ」や同「セントラ」の22年の米国販売はそれぞれ約14万台、約7万7000台だった。スポーツ多目的車(SUV)など小型トラックの販売が約8割を占める米国市場でセダンの品ぞろえを売れ筋車種に絞る狙いもありそうだ。

米国では脱炭素にかじをきるバイデン政権が、30年までに新車販売の50%以上をEVなどの電動車にする目標を掲げる。日産もミシシッピ州のキャントン工場に約5億ドル(約660億円)を投じて生産ラインを改修し、26年から新型EV4車種の生産を計画する。電動車の供給を効率化し、30年度までに米国でEVの販売比率を22年の2%から40%以上に引き上げ、EVシフトに柔軟に対応する。


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日刊工業新聞 2023年01月16日

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