半導体製造装置大手ディスコが生産能力4割増強、需要旺盛で国内工場フル稼働続く
ディスコは半導体や電子部品材料を切断・研削する製造装置の生産能力を約4割増強する方針を固めた。2025年度をめどに長野県に新工場を建設する検討に入った。同県内2カ所目の拠点となり、早ければ23年度にも長野事業所・茅野工場(長野県茅野市)近くに土地を取得する。総投資額は400億円規模になるとみられる。旺盛な需要に支えられ、国内各工場ではフル稼働が続く。広島県の主力工場への投資も継続し、増産対応を進める。
関家一馬社長が日刊工業新聞のインタビューで明らかにした。3期程度に分けて建屋を建設、順次稼働させたい考え。茅野工場から車で10分程度の場所に、同工場の敷地(約7万1000平方メートル)に比べて約2倍の用地取得を検討しているという。「ハイテク市場は今後も伸び続ける。開発も生産もバランス良く投資していく」(関家社長)方針。ただ候補地は複数あり、23年度の決定を目指す。
ディスコは広島県呉市にも主力の桑畑工場を含め2工場を持つ。長野県の新工場が完成すると、全社の国内生産能力は現状より約4割拡大する見通し。
茅野工場は18年に子会社からディスコ本体の運営に切り替わり、切断装置(ダイシングソー)などの生産を本格化。長期的な需要拡大や事業継続計画(BCP)強化などを見据え、約175億円を投じて敷地内に新棟も建設した。
最先端品や次世代品に対する半導体メーカーの投資意欲は衰えておらず、工場はフル稼働が続く。電気自動車(EV)などに使われるパワー半導体用の装置の引き合いも旺盛で、装置の受注残が積み上がっている。
ディスコは「広島に次ぐ第2の拠点」(関家社長)として長野地域で全社売上高の3割の製品を手がけられるようにしたいと考えており、今回、茅野工場の約2倍の生産能力を有する新工場を計画した。炭化ケイ素(SiC)半導体基板のウエハーをレーザーで切り出す装置などを将来は長野の新工場でも生産できるようにしたい考え。
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