厚み炭素原子1つ分、北陸先端大が単層グラフェンで作製したスゴイ電子機械スイッチ
北陸先端科学技術大学院大学の水田博卓越教授らは、炭素原子1つ分の厚みしかない単層グラフェンで電子機械スイッチを作製した。5万回機械的に上下させても壊れない安定性が確認され、実用化への道が開けた。待機時の消費電力が少ない集積デバイスの開発につながる。
単層グラフェン(GNR)で電極間を架橋し、単層グラフェンの上に制御電極を配置してスイッチのオンオフを切り替える。従来はオンオフを繰り返すと制御電極表面にグラフェンが張り付いてしまう課題があった。
そこで制御電極を六方晶窒化ホウ素(hBN)でカバーすることで、グラフェンの張り付きを抑えた。グラフェンを架橋した後にシリカの犠牲層を積層し、この上に六方晶窒化ホウ素を形成。制御電極を形成してからシリカの犠牲層を取り除くと、単層グラフェンの上に六方晶窒化ホウ素でカバーされた制御電極を配置できた。
実験では5万回の繰り返し試験に耐えることができた。スイッチング電圧は0・5ボルト未満で従来技術に比べ約2ケタ低電圧化した。原理上はオフ状態での漏れ電流をゼロにできるため、低消費電力な集積デバイスの開発につながる。
日刊工業新聞 2023年01月12日