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営業益最大15%上乗せ、防衛省が防衛産業からの企業撤退防ぐ新たな仕組み

防衛省は2023年度に、防衛装備品を生産する防衛産業からの企業の撤退を防ぐ新たな仕組みを構築する。コストや品質、納期管理で成果を出した企業に対しポイントを付与し、営業利益として最大15%上乗せする。日本の防衛産業の営業利益率は実質2―3%程度と低く、撤退企業が後を絶たない。適正マージン確保により営業利益を引き上げ、撤退防止と生産・技術基盤の維持につなげる。

防衛装備品は開発に長い年数がかかる分、研究開発費が大きい。他方で調達数が少ないため量産や回収効果が高まらず、利益が抑制される。有能な研究人材を長期間とられる上にラインも部品供給も維持する必要がある。もうかる事業への“選択と集中”が進む中、撤退を決める国内企業が後を絶たなかった。航空機部品などの生産を手がける主要企業が撤退すると海外企業の製品に頼らざるを得なくなり、国防上の弱点にもなり得る。運用やサプライチェーン(供給網)の問題も生じる。

新しい仕組みではこうした実情を考慮。コスト管理で成果を出した企業に最大10%、原材料高などコスト変動調整率として1―5%のポイントをそれぞれ付与し、合計で最大15%の営業利益率を上乗せできる仕組みとする。納期管理やコストダウンをきちんと行っている企業を評価し、マージン率を高く設定することで士気向上につなげる。

半導体や電子部品などの原材料高や急激な物流費高騰といったコストアップ要因も加味し契約の履行期間に応じて1―5%のコスト変動調整率を上乗せすることで企業が赤字に陥るリスクも軽減する。

日刊工業新聞 2023年01月09日

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