JUKI「ノンアパレルでも存在感」なるか、カギ握る新共同出資会社の役割
JUKIは22年7月に三菱電機および三菱電機グループの名菱テクニカ(名古屋市東区)と共同出資会社「JUKIテクノソリューションズ」(東京都多摩市)を設立した。JUKIは2022年度を最終年度とする中期経営計画において25年度に工業用ミシン事業のノンアパレル産業の売上比率を21年度比8ポイント増の31%に高める方針を掲げている。両社の先進技術や人材の英知を補完・融合し、ノンアパレル産業でも存在感を強める構えだ。
「ノンアパレルでもトップの地位を確固たるものにしたい」―。JUKIの清原晃会長最高経営責任者(CEO)は意気込む。共同出資会社の狙いの一つが拠点網と営業人材の拡充にある。単純に代理店数が増えるだけでなく、バッグや自動車などノンアパレル産業で有望な地域となるフランスや香港の代理店が新たに加わる。
そしてノンアパレル産業は自動車のシートといった「厚物」素材が多い。厚物素材は加工難易度が高いゆえに顧客の要求水準が高い。“技術がわかる”営業人材は貴重な存在であり、販売促進への強力な推進力となる。
開発力の底上げもポイントの一つだ。縫製工場では短期間のモデルチェンジに対応できる少量多品種の体制構築のほか、作業者の労働環境に配慮しているかの人道的視点がバイヤーとの契約において重要な要素になり始めた。そのため静音性に優れる工業用ミシンのニーズがある。清原会長CEOは「生産性向上や難加工対応はメーカーとして当然だが、JUKIグループと三菱グループの技術を融合し、スマートファクトリーを縫製工場でも導入したい」と話す。
出資比率はJUKI80%、三菱電機20%として、JUKIの100%子会社としていない。JUKIの開発陣を三菱グループの主要な開発・製造拠点がある名古屋に集約するなど柔軟な運営体制を敷いた。技術を融合するスピード感を早め、新興国開拓で重要となるミドルエンド帯の製品開発などを進める。