「和食」の良さ受け継いで、農水省が郷土料理PRに本気
日本の伝統的な食文化として、2013年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された「和食」。若者世代を中心に「白米離れ」も見られる中、農林水産省が郷土料理のレシピ収集やPRに力を入れている。集めたレシピは1365種類。子どもたちに受け継ぐ人材も育成し、和食文化を後世へつなぎたい考えだ。
政府の食育推進会議が21年に策定した基本計画では、25年度に伝統的な料理などを継承する国民の割合を「55%以上」、郷土料理や伝統料理を月に1回以上食べる割合を「50%以上」とする目標を掲げた。ただ、こうした料理を楽しむ地域行事は減少、食の多様化も進んでいる。
そこで農水省は、郷土料理の歴史や由来、レシピを紹介するサイト「うちの郷土料理」を立ち上げた。学校や飲食店などで参考にしてもらうのが狙いで、開設当初の20年3月に294種類だったレシピの掲載数は22年3月、1365種類に増加。
メニューは、各都道府県の検討委員会が「食材が地元で入手できる」「家庭や地域で受け継がれている」といった基準で選定。例えば、冬の料理には、北海道石狩地方のサケや野菜が入った「石狩鍋」、広島県東広島市の日本酒で味付けする「美酒鍋」などが並ぶ。サイト利用者からは「その土地の料理を調べるのに良さそう」「この料理はうちの地域が発祥だ」との声も寄せられているという。
日刊工業新聞 2023年1月5日