東海道新幹線の部材が駅店舗の装飾に生まれ変わった!
廃車になった東海道新幹線車両のアルミ部材が、東京駅の土産店の装飾や、新造車両に再利用されている。JR東海によると、製造時の二酸化炭素(CO2)排出量抑制や、材料の低コスト化などの効果を期待できるという。
年末年始の帰省客でにぎわう東京駅八重洲北口の土産物専門店街「東京ギフトパレット」。各店の上部には「のれん」をイメージした装飾がずらりと並ぶ。のれんや、桜の花びらをデザインした柱や天井の装飾は、2020年3月に引退した「700系」車両のアルミ材を再利用したものだ。
22年11月にオープンしたギフトパレットの新エリアには、後継車両「N700系」のアルミ材を活用。全体で計約5両分の再生アルミが使われている。JR東海の担当者は「年末やお正月に、日本人の『物を大切にする心』を感じていただきたい」と話した。
JR東海の子会社「東京ステーション開発」は18年8月、700系の引退を前に新幹線アルミの活用を検討し始めた。20年に東京駅で外装材として実用化に成功。23年度からは新幹線車体としても再利用する。
新幹線では部位によって異なる種類のアルミ合金が使用されているため、高い強度が求められる車体に再生アルミ材を使うのは難しかった。同社は、特定のアルミ合金を選別する技術を開発。23-26年度にかけて追加投入される「N700S」の屋根に採用することになった。
同社によると、新幹線1両から約4トンの再生アルミを造ることができ、新しくアルミを製造する場合に比べ、CO2排出量を約36トン削減できる。再生材は市場価格の影響を受けにくいため、コスト面でも有利に働くといい、同社は今後も再生部材の利用範囲を広げる考えだ。
日刊工業新聞 2022年12月30日