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新型コロナ「mRNAワクチン」のメッセージ

新型コロナ「mRNAワクチン」のメッセージ

コロナワクチンのイメージ

新型コロナでお馴染みのメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン―。その先端技術が他のワクチン開発にも広がりを見せている。

12月には米モデルナと米メルクが、がん治療薬との同時投与で「がんワクチンのがんへの効果が初めて実証された」との臨床試験結果を発表。独ビオンテックもがん免疫療法の臨床試験を台湾で始める。

英科学誌ネイチャーは2023年の科学分野での話題のトップに次世代ワクチンを挙げ、マラリア・結核・性器ヘルペス・帯状疱疹など感染症向けに実施されるmRNAワクチンの臨床試験に期待を示す。

片や新型コロナの感染急増に直面する中国。ワクチン接種率の低さと有効性で劣る従来型ワクチンがその一因とも言われる。上海の製薬会社は前出のビオンテックと提携済みだが、政府がmRNA型の自国開発にこだわるあまり導入が遅れている。

壊れやすいmRNAを脂質分子でくるんで体内に届け、免疫を増強するたんぱく質を作り出す。こうしたワクチン技術が新型コロナを受け素早く実用化できたのは、幾度の苦境にもめげず数十年にわたる着実な研究の積み重ねがあったからこそ。多様性に富む基礎研究が未来を切り開く。

日刊工業新聞 2022年12月29日

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