超電導方式100量子ビット超「国産量子コンピューター2号機」、完成2年前倒しの理由
文部科学省と理化学研究所は国産量子コンピューター2号機の完成を最大2年前倒しする。2号機は超電導方式の100量子ビット超の計算機になる。当初は27年の完成を予定していたが、量子コンピューターをめぐる技術革新と国際競争が激しさを増しており、国産2号機の開発を加速することにした。
文科省は2023年度予算で量子・人工知能(AI)分野に135億円を投資する見通し。22年度第2次補正予算の72億円を合わせ207億円を投資する見込み。一部を充て2号機完成目標を25―27年と最大2年前倒しする。国産初号機の発表を23年3月に控えるが、2号機の前倒しを先行して決めた。
2号機では超電導量子ビットが64個から100個超に増えるため、マイクロ波による量子ビット制御を高度化する。理研の和光地区(埼玉県和光市)で開発し、神戸地区(神戸市)の富岳の隣に設置して運用する案も検討されている。富岳と量子コンピューターをつなぎ、リアルタイムに計算結果をフィードバックすることで高度な計算を実行できる。
先行する米IBMは11月に433量子ビットのプロセッサーを発表。25年に4158超の量子システムを計画するなど優位性を広げている。
対する理研の2号機は量子ビットの数では劣るため、量子ビット一つひとつの質や制御の精度などを向上し実際の計算能力で勝る必要がある。富岳は量子コンピューターで起きる量子現象を解析する上で重要な役割を担う。
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日刊工業新聞 2022年12月23日