日本精工が「再生医療」参入、7.5兆円市場でフル活用する技術たち
日本精工は医療ベンチャーのサイフューズと連携し、再生医療分野に参入する。日本精工が培ってきたメカトロニクスや精密位置決め技術などを活用し、患者の細胞を培養して生み出す3次元(3D)細胞製品に必要な設備開発などを進める。再生医療市場は2030年には7兆5000億円規模に拡大する見通し。25―26年ごろをめどに商業レベルで展開できる製造設備の開発につなげる。強みを生かし成長領域で新規事業を育てる。
「再生医療等製品」の生産には軟らかく取り扱いが難しい上に、形状が不均一でマイクロメートル単位(マイクロは100万分の1)と微小な細胞や細胞塊を高精度に操作する技術が必要とされる。こうした技術要求に対して日本精工が持つメカトロや精密位置決め、画像認識技術などをフル活用する。
再生医療等製品としては液体状の製品を注射器で投与するものや、シート状の製品を貼付するジャンルはすでに存在する。一方、サイフューズは固形で立体的な数センチメートルから数十センチメートルまでの組織や臓器を再生医療等製品として実用化することを目指している。こうした3D細胞製品は生体に近い機能を出すことが可能と言われる。
両社によると、商業レベルで3D形状の再生医療等製品を生産するための製造設備は市場に流通していないという。現在は手作業や半自動にとどまっており、プロジェクト次第で必要な道具を一から試作開発する事例も多い。一般の工業製品と同等のレベルで再生医療等製品を作り出せれば、患者に3D細胞製品を用いた革新的な治療の選択肢を提供することにつながる。
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日刊工業新聞 2022年12月23日