着々と進む建機の電動化開発、これから台風の目になる勢力とは?
2022年も前年と同様、建設機械各社の電動化の研究開発が一段と進んだ。中心になっているのはコマツと日立建機の大手2社。10月にドイツのミュンヘンで開かれた世界最大規模の建設機械見本市「bauma2022」ではコマツが20トン電動ショベルやフル電動ホイールローダー、オペレーター非搭乗式ミニショベルコンセプトマシン、日立建機は13トン、8トン、5トン、2トンの電動ショベルをそれぞれ出展。電源はいずれもリチウムイオン電池(LiB)で、製品開発の進展や豊富な品ぞろえをPRした。
電動ショベルはディーゼルエンジンの通常ショベルと比べて、排ガスを出さない、騒音が小さい、エンジン振動がなく作業者の疲労が少ないなどの長所がある。半面、価格が数倍と高いことや充電インフラ、稼働時間の短さなどが短所で、導入のネックとなる。コマツをはじめ、現時点では国内展開は販売でなくレンタルが中心であることは、こうしたネックと関係がある。
欧州はこの点、日本より環境保全意識が高い。建機ユーザーは価格が多少高くとも、環境保護の姿勢を打ち出せる利点を優先し電動機を受け入れている。州や都市によって補助金などの優遇措置を講じている自治体もある。建機大手としては、開発や受け入れ体制が進んでいる欧州で実機を投入し、反応を見て日本や米州などに展開したい思惑が透ける。
20トンの電動ショベルで、コマツは技術提携先の米プロテラ製のバッテリーシステムを搭載した。日立建機の13トン、8トン、2トンショベルも欧州企業との合弁会社の開発だ。必要に応じ専門企業と組むことによって開発スピードを速め、商品を先にアナウンスする。電動ショベルの市場ができるのはまだ先だが、開発能力をアピールする狙いもある。竹内製作所や酒井重工業も電動商品を開発済みだ。
電動ショベルの基幹部品は電池なだけに、中国製が将来席巻する可能性もある。高精度施工や耐久性など差別化が求められている。
【関連記事】 建機メーカーが大注目する異色のレンタル会社