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高容量リチウム電池を長寿命化、第一工業製薬が開発したスゴい「接着剤」の仕組み

高容量リチウム電池を長寿命化、第一工業製薬が開発したスゴい「接着剤」の仕組み

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第一工業製薬は、高容量リチウムイオン二次電池(LiB)の劣化を防ぐ負極用水系複合接着剤「エレクセルCRシリーズ」を開発した。高い構造復元性を持つのが特徴で、電池の充放電による負極材の膨張・収縮に対して接着材が“ゴム”のように追従。電極構造を安定化させることで高容量電池の長寿命化に寄与する。2024年度に製品化し、スマートフォンなど民生品や車載用電池向けに提案。初年度2億円、27年度までに年間35億円の売上高を目指す。

LiBの負極材料は黒鉛が主流だが、近年は高容量を実現するシリコン系材料を添加することが増えている。ただ、シリコン系材料は充電により膨張するため、放電で収縮する際、電極構造を破壊し、電池を劣化させる課題があった。

同社は接着剤に含まれる樹脂の弾性率や強度を制御することで、電池の長寿命化を実現。同社によると新開発の接着剤を採用した場合、黒鉛にシリコン系材料を添加し負極容量が2倍以上になっても、1000回以上の充放電後、電極構造が安定していたという。

まずは民生向けに市場投入し、その後、車載向けでも展開する。同社は車載向け需要(数量ベース)は民生品と比べ10倍以上あると見ている。

日刊工業新聞 2022年12月20日

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