日本電産シンポが減速機事業で1000億円投資に踏み切る理由
日本電産シンポ(京都府向日市、西本達也社長)は、2025年度までに減速機事業で約1000億円の成長投資に踏み切る。海外での工場新設や既存工場の増強などを計画。25年度までに現状比約3倍の売上高1500億円を狙う。ロボット向けなどの精密減速機の需要が拡大しているため、グローバルで供給能力を早急に引き上げ、事業拡大につなげる。
日本電産シンポは遊星減速機やロボット向け波動歯車減速機などを手がける。ロボット用に加え工作機械や工場自動化(FA)機器など向けで旺盛な需要が続く。そのためメキシコ、フィリピン、中国、スペインなどを候補地として工場新設や日本電産グループの既存工場の活用・改修による増産などを進める。西本社長は「モーター工場のほとんどは減速機工場に置き換えることが可能」と話す。
新工場などに導入する工作機械では、日本電産マシンツール(旧三菱重工工作機械)やニデックオーケーケー(旧OKK)など日本電産グループが手がける製品や技術を積極的に活用する。特に歯車工作機械を手がける日本電産マシンツールがグループ入りし「これまで作れなかったような減速機を作れる」(西本社長)としており、工作機械事業とのシナジーを強める。
調査会社のグローバルインフォメーションによると、世界の精密減速機の市場規模は28年度までに21年度比約70%増の27億4623万ドル(約3700億円)に伸びる見通し。西本社長は「遊星減速機やロボット向け減速機は、需要が増え続けている」と話す。
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日刊工業新聞 2022年12月19日