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新築マンション100棟にEV充電設備を無償提供、テラモーターズの思惑

新築マンション100棟にEV充電設備を無償提供、テラモーターズの思惑

テラモーターズが提供するEV充電設備

テラモーターズ(東京都港区、上田晃裕社長)は、新築マンションに電気自動車(EV)用充電器を無償で提供するサービスに乗り出す。すでに提案を始めており、2023年3月までに新築マンション100棟、計1000基の受注を目指す。マンション建設時に設置工事を実施することで、費用を抑えられる点をデベロッパーや設計事務所に訴求する。現在は既存施設への後付けサービスを手がけているが、新築にも需要があると判断。EVインフラ事業に携わる社員を2023年4月までに現状の約2倍となる100人程度にし、提案を加速する。

今後EVの普及に伴い、充電器の需要も高まる見込みだ。充電器の購入や工事には、国や自治体の補助金を活用できる。ただ建物の新築時に設置する場合は補助金の申請から採択、設置工事、行政への実績報告に時間がかかるため「実質的に補助金を使うのが難しい」(同社)点が課題となっている。

同社は、普通充電器などと比べ充電時間はかかるが安価なEV充電用コンセントを無償で提供。補助金を頼らずに新築マンションへ設置する方法を提案する。設置後はクラウドで管理し、充電器の利用者から1時間当たり150円程度の料金を徴収して収益を得る。

同社は電動バイクメーカーで、4月に既存の集合住宅に充電器を無償で提供するサービス「テラチャージ」を始めた。初年度1000基の設置を目標としていたが、商業施設なども含め既存施設で、その3倍程度の受注を見込んでいる。

EV普及に向け、東京都が新築マンションへの充電器設置の義務化を検討するといった動きが出ている。一方、現時点でのEV所有者は少数にとどまっており、マンションへの充電器設置は費用面などで住民の合意形成が難しい。同社は初期費用や管理コストを負担することで、ハードルを下げる狙いだ。


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日刊工業新聞 2022年12月09日

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