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半導体露光面積4倍超、キヤノンが新型機で3D技術の成長取り込む

キヤノンは6日、複数のチップを積み重ねて性能を高める「3次元(3D)」技術向けに後工程(チップ化やパッケージ化)で使われる半導体露光装置の新型機を開発したと発表した。露光面積を従来機から4倍以上に拡大し、人工知能(AI)などに使う大型の先端半導体の生産に対応する。回路を細くして集積度を高める「微細化」に頼らず半導体の性能を高める方法として3次元技術に注目が集まる中、対応機種の品揃えを拡充して成長を取り込む。

新製品「FPA―5520iV LF2オプション=写真」はレンズなど光学系部品を見直し、照明光を均一化するホモジナイザーを改良するなどして、露光面積の拡大につなげた。先端半導体の大型化傾向に対応しやすくなる。2023年1月上旬に発売する。

3次元技術は複数の半導体チップを積み重ねて密に接続する手法で、後工程の製造プロセスで求められる技術領域。複数のチップを横に並べて組み合わせ、一つのチップのように動かす2・5次元技術とともに、微細化に頼らず半導体の機能向上を図れる方法として近年、注目が集まっている。

3次元技術でチップを載せる板状の部品には、チップ同士を電気的に接続する細かい配線が何層にもわたって高密度に形成されている。キヤノンの新しい露光装置はこの配線を形成するのに使う。

露光機は半導体の回路形成を行う前工程で使用されるが、キヤノンの「i線露光装置」は3次元技術に応用され、後工程でも用いられている。


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日刊工業新聞 2022年12月07日

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