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最大飛行距離35km、日本郵便専用「ドローン」の全容

ACSLが開発
最大飛行距離35km、日本郵便専用「ドローン」の全容

開発した物流用ドローン機体(中央)と、鷲谷聡之ACSL社長(左)と金子道夫日本郵便専務取締役兼専務執行役員

ACSLは、日本郵便専用の物流用飛行ロボット(ドローン)を開発した。有人地帯における目視外飛行である「レベル4」での運用を前提とし、ペイロードは5キログラム、最大飛行距離は約35キロメートル。機体上部からの配送物収納や機体下部からの切り離し機構など利便性を高めた。2023年中にレベル4の飛行試験、ドローン配送実証サービスを始める計画だ。

ACSLは日本郵便、日本郵政キャピタル(東京都千代田区)と21年6月に資本業務提携した。開発した機体は郵便ポストを連想する赤色塗装で、全長1・5×幅1・7×高さ0・5メートル。日本郵便と実験していた従来機体に比べ、ペイロードは2・5倍、飛行距離は3・5倍に伸びた。

長い飛行距離を生かし、日本郵便は山間地や離島などの配送実証のほか、車では時間がかかる郵便局同士の配送にも同機を使う計画。ラストワンマイル(目的地までの最終区間)配送を想定し、ドローンと車両、搬送ロボットを組み合わせた実験も21年末に始めており、配送料金や不在時の連絡、雨天で飛べない場合の利用者通知手段などの課題を実証で詰める計画だ。

有人地帯上空を飛ぶレベル4では、無人地帯を飛ぶレベル3よりも格段の安全管理が求められる。ACSLが手がけるドローン機体としては5キログラムを積める「エアートラック」がすでにあるが、鷲谷聡之社長は「機体設計は完全に別物」と今回の開発機について説明する。

日刊工業新聞 2022年12月07日

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