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5本指でアルミ缶潰す、広島大が開発したのスゴいロボハンド

広島大学の鮑元昊大学院生と高木健教授は、軽さと出力を兼ね備えたロボットハンドを開発した。手首の回転力を指の握力に利用するため、モーターを増やさずに力を出せる。ハンドの重量は450グラムと男性の手の平均よりも軽い。5本指でアルミ缶を握ってへこますことを可能にした。

開発した5本指ハンド(広島大提供)

指を曲げるモーターと手首を回転させるモーターを差動機構を介して連結させる。指と手首をそれぞれ独立して駆動するよりも大きな力が出せ、モーターを遊ばせない。

指はワイヤを引いて屈曲する。ワイヤの巻き取りに6ワットの高速モーターを採用した。指の開閉は90度分で、開閉時間は0・32秒と人の手より速い。指を駆動するワイヤに滑車を押し当てて、さらにワイヤを引っ張る。この滑車の駆動に手首部のモーターを利用した。偏心カムで滑車を押し当てて握力を増す。差動機構で手首の回転と握りの強化を切り替える。

手首の動きと握力強化を同時に行うことも可能。25・5ニュートンの力を出せた。

アルミ缶を握る作業では、手を開いた状態から0・32秒で指が缶に触れ、0・91秒かけて握力が最大になる。1・23秒で握る動作が完了する。アルミ缶をへこませられる。

空き缶を握った状態(広島大提供)

人間の手は腱を介して複数の筋肉がつながっており指先で大きな力が出せる。ロボットの手は関節ごとにモーターを配置すると出力の割に重くなってしまう課題があった。ワイヤとカムでモーターを余すことなく使えると重量と出力の両立につながる。

日刊工業新聞 2022年12月06日

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