アース製薬のグループ戦略は「クルマのハンドルと同じ」?
アース製薬は虫ケア用品、入浴剤、消臭芳香剤などの日用品メーカー。同社のほかバスクリン(東京都千代田区)、白元アース(同台東区)、アース・ペット(同港区)、アース環境サービス(同中央区)などでグループを形成している。ペット事業や衛生管理支援事業を除くとグループ間で重複している商品もあるが、川端克宜社長は「ムダがあるように見えるが、クルマのハンドルと同じで少し遊び(余力)のある方が良い。今はまだ互いに切磋琢磨(せっさたくま)するフェーズと思う」と現状を見据える。
アース製薬は主に2012―16年にM&A(合併・買収)を積極化し、グループを拡大した。12年にバスクリンを投資ファンドから買収。民事再生手続き中だった白元を14年に子会社化。16年にジョンソントレーディングを買収し、17年にアース・バイオケミカルなどと統合し「アース・ペット」を設立した。「買収先を積極的に探していたわけではなく、あくまでも”縁と運”の話」(川端社長)と説明する。
アース製薬には入浴剤「バスロマン」があり、バスクリンは社名の入浴剤が主力商品。白元アースも入浴剤ブランドを持つ。また、アース製薬と白元アースは消臭芳香剤や衣類防虫剤・虫ケア用品で重複する。「重複してムダに見えるが、部材の共通化や共同調達はすでに実施しており、コスト上の問題は少ない。ブランドを別々にしておくべきか、統合するかは環境を注視しながら判断することになる」(同)という。
これからも現状のグループ体制を維持すると決めているわけではない。「中・長期で見ていけばグループを統合・再編するか、持ち株会社制に移行するか、ポートフォリオを見直す時が来るだろう」(同)と見通す。
ただ持ち株会社制については慎重だ。川端社長は「『グループ経営は皆平等』というのが基本姿勢であり、親子関係が生じるのはいかがなものか」と指摘。グループとしてパフォーマンスを重視した形を検討していく。