拡大する「半導体装置需要」狙え、大成建設が納期半減の免震システム完成
大成建設は半導体製造装置向けに、震度5強程度に対応する免震システムの提案を加速する。エーエス(東京都墨田区)と共同で、あらゆる形状の装置に対応する汎用性を備えつつ、納期を従来の半分に短縮した新型を完成した。装置を置く架台の剛性も引き上げ、歩行時に生じる振動も軽減した。日本や台湾で拡大する半導体製造装置の需要を受け、半導体・半導体製造装置メーカーに訴求する。
大成建設とエーエスは、一体化させた転がり支承と架台を個別設計によって連結する従来の免震システムを刷新。転がり支承を小型・共通ユニット化し、さらに架台を鉄骨構造として別々に仕上げる新型を完成した。新型では装置の形状に応じた自由な組み替えが可能なことから、高い汎用性と1―1・5カ月と短い納期、さらに従来比3―5倍の剛性を持つ架台を実現する。
転がり支承ユニットは約440ミリメートル四方の自立式で、1台当たり8組の車輪とレールを備える。半導体製造装置1台に対し、ユニット6、7台を使用する想定だ。これまで一体で作製してきた架台と分離したことに加え、ユニット化したことで支承を装置ごとに最適な位置に設置することが可能になる。共通化した部品を在庫することも検討する。
一方、新型の架台にはH形鋼などを採用。1枚当たり幅1・1×奥行き2メートル程度で、転がり支承ユニットで支える。支承ユニットと架台は工場など現地で配置を決め、ボルトで接合する。従来より剛性を向上させたことで歩行時の振動を抑制する効果も確認できており、半導体の製造プロセスに振動が与える悪影響を低減することも期待できる。
大成建設とエーエスは、2009年に半導体製造装置用の免震システム「TASSユニット」を開発した。震度5強の揺れまで対応するものとして、11年の東日本大震災でも高い免震効果を発揮。これまで国内外20工場に約3000台が導入されている。今後は新たな製造装置の導入に合わせて新型を提案。既存の装置に対応する従来型の生産も継続する。
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