JAXA、地球シミュレータで「金星の極域」が高温になる仕組み解明

4月からは「あかつき」で本格観測。地球で起きる大気循環の仕組みの鍵に

  • 0
  • 0
金星探査機「あかつき」が撮影した金星の画像(JAXA提供)
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の安藤紘基宇宙航空プロジェクト研究員らは、金星の北極と南極の極域が高温になる仕組みを明らかにした。海洋研究開発機構の新型スーパーコンピューター「地球シミュレータ」を利用して金星上空の大気に生じる気温分布を再現し、高温領域の生成や維持の仕組みを解明した。

 JAXAは4月から、金星探査機「あかつき」で金星の本格的な観測を始める予定だ。今回の理論モデルで観測データを解釈し、金星の大気や気象の仕組みの解明につなげる。

 金星は地球と大きさなどが似ており「双子星」と呼ばれている。だが金星は大気の95%を二酸化炭素(CO2)が占め、上空を分厚い濃硫酸の雲が覆うなど性質はかなり異なる。今後、地球上でCO2や硫酸塩を含むエアロゾルが増加した際、地球の気象がどのように変化するかに関する予測に役立つ可能性がある。

 地球の大気のモデルに金星のパラメーター(設定値)を導入し解析した。太陽が金星の雲を暖めることで赤道から極域に向かう南北方向の大気の流れが生じる。その流れは極域上空に集まり、そこから地上に向かって下向きに流れ込む。気体は圧縮されると温度が高くなるため、下降流が起きている領域では空気が周りからの圧縮によって加熱され、温度が上昇することを明らかにした。

 慶応義塾大学や京都産業大学などとの共同研究。成果は1日、英電子版科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。

日刊工業新聞2016年2月2日科学技術面

COMMENT

今回、スーパーコンピューターを利用し理論的なアプローチで金星大気の環境を解明した。2015年12月に金星周回軌道に入った金星探査機「あかつき」で4月から本格的な金星の観測に入る。金星では大気が360キロメートルの速さで循環する「スーパーローテーション」という現象が起きており、こうした現象の解明は地球で起きる大気循環の仕組みを解明する鍵になるかもしれない。理論と実験を組み合わせた解析により金星の詳細が明らかになることを期待したい。 (日刊工業新聞編集局科学技術部・冨井哲雄)

関連する記事はこちら

特集

このサイトでは、アクセス状況の把握や広告配信などのためにクッキー(Cookie)を使用しています。オプトアウトを含むクッキーの設定や使用の詳細についてはプライバシーポリシーページをご覧ください。

閉じる