日産が新型「セレナ」年産11万台計画、6年ぶり全面改良で首位奪還なるか
日産自動車は主力のミニバン「セレナ」を約6年ぶりに全面改良し、年産約11万台を計画する。生産規模では2018年に過去最高となったセレナの国内販売台数約10万台を上回る。新型エンジンを組み合わせたハイブリッド車(HV)モデルなど、走行性能に磨きをかけ、22年にミニバンを全面改良したトヨタ自動車やホンダに対抗する。
日産は年内に国内でセレナの新型車のガソリン車、23年にHVモデルを発売する。子会社の日産自動車九州(福岡県苅田町)で生産を始めており、23年にHVの生産を始める予定。年間の生産台数はガソリン車で約5万台、HVで約6万台を計画し、主要サプライヤーに伝えた。
独自HV技術「eパワー」は、エンジンを発電のみに使い、モーターで駆動する。セレナでは18年に初めて搭載した。現行モデルは主力の小型HV「ノート」と同じ排気量1200ccのエンジンを採用しているが、新型セレナでは同1400ccの新エンジンに切り替え、7―8人乗りのミニバンに適した力強く余裕のある走りを実現する見込み。
21年のセレナの国内販売台数は6万台弱。日産の国内販売の約13%を占め、ノートの約20%に続く。新型セレナで年11万台の販売を実現できれば、21年の水準でノートを上回る規模となる。
セレナと同じ国内中型ミニバン市場は、トヨタが1月に「ノア」と「ヴォクシー」を約8年ぶりに全面改良して発売。車台を刷新し、HVでは排気量1800ccのエンジンを採用した新世代のシステムを搭載した。
ホンダは5月に「ステップワゴン」を約7年ぶりに全面改良。室内空間を広くし、同2000ccエンジンを採用したHVも投入した。日産が新型セレナで首位を奪還できるか注目される。
日刊工業新聞 2022年11月17日