トヨタの技術も生かす、三井物産が挑む「スポーツでホスピタリティサービス」の中身
三井物産は首都圏でスポーツを切り口としたホスピタリティサービス事業に乗り出す。プロバスケット観戦のビジネスシーンでの利用などを提案し、新しいスポーツ観戦文化を創出する。またトヨタ自動車のモビリティー技術も活用して次世代技術を発信していく方針だ。(編集委員・中沖泰雄)
三井物産の同事業はトヨタアルバルク東京(東京都文京区、林邦彦社長)の新アリーナプロジェクトを通じて行う。2025年に東京・青海に開業する「東京Aアリーナ(仮称)」を拠点とする。
トヨタアルバルク東京はトヨタ自動車が90%、三井物産の完全子会社である三井物産フォーサイト(同港区)が10%の比率で出資して16年に設立された。プロバスケットチーム「アルバルク東京」と関連事業を企画・運営している。
アルバルク東京のホームアリーナが東京Aアリーナで、VIPルームやVIPラウンジ、パーティールームなどを設け、観戦しながら取引先などとの交流を可能にする。大型ビジョンなど情報通信技術(ICT)投資を積極的に行い、エンターテインメント性を追求、観戦環境を向上する。
ファンの裾野を広げるため、選手やチアリーダーとの交流会を開催。会員制交流サイト(SNS)で情報を発信するとともに、観客などのデータを分析し、ホスピタリティーや集客のアップに結び付ける。最大収容人数は約1万人で、平均8000人以上の観戦を目指す。
トヨタアルバルク東京アリーナプランニング部の林洋輔部長は「スポーツにしかない力がある。米国ではスポーツから会話が始まり、話しが弾んで、ビジネスでもプライベートでも関係構築に大きく寄与している」。このような文化を同アリーナでの観戦を通して根付かせたい考えだ。
アルバルク東京はB1リーグで過去6シーズン中、2回優勝した有力チーム。ただ、ホームではシーズン中、30試合しか行わないため、バレーボールや卓球、ハンドボール、障がい者スポーツなどの協会に利用を提案している。
これまで三井物産グループは広島東洋カープなどと手を組み、ホスピタリティサービス事業を展開している。今回は首都圏を起点に事業を始めることから、さまざまなシナジー(相乗効果)が期待できる。
トヨタのモビリティー技術については、例えば試合を行う際に設置する木床を運ぶモビリティーや、自動運転による移動式店舗などの導入や、試合やイベントが行われる際のMaaS(乗り物のサービス化)の活用を検討する。