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青色GaN系フォト結晶レーザー開発、京大が高出力・ビーム安定動作に成功した意義

京都大学の野田進教授らは、青色の波長でワット級の出力を持ちながらビーム広がり角を0・2度以下に抑えた窒化ガリウム(GaN)系フォトニック結晶レーザーを開発した。自動車や航空機の軽量化に向けて使用される、銅や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のレーザー加工などへの応用を目指す。また出射するビームは単峰形状で狭い広がり角のため、応用製品の小型化につながることが期待される。

GaN系材料を使った青紫から青色で動作するフォトニック結晶レーザーはこれまで、基礎的なレーザー動作の実証に成功していた。だがレーザーが発振する電流密度が非常に高く、光出力もミリワット以下と十分な特性が得られていなかった。

そこで研究チームは適切な層構造や共振器のサイズに見直し、デバイス面内方向の光の漏れを低減。またフォトニック結晶の形成において、光の共振を乱す要因になる空孔の不均一性を抑える手法などを取り入れた。結果、安定的な動作を確認した。成果は英科学誌コミュニケーションズ・マテリアルズ電子版に掲載された。

日刊工業新聞 2022年11月10日

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