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二枚貝類、貪食作用で体表面からもマイクロプラ取り込み

海洋機構が汚染経路確認
二枚貝類、貪食作用で体表面からもマイクロプラ取り込み

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海洋研究開発機構の生田哲朗副主任研究員らは、海洋生物の新たなプラスチック汚染経路として、二枚貝が経口摂取だけでなくえら表面からマイクロプラスチック(MP)を取り込むことを示した。MP暴露実験で、MP粒子を生体膜から細胞内小胞に取り込む貪食現象が観察された。二枚貝だけでなく多くの海洋生物で体表からの汚染の可能性が考えられる。廃棄プラスチックの劣化で生じるMP汚染対策に加え、新規の生分解性素材開発などでも分解過程でMP粒子を生じない対策が重要となる。

えらに共生する細菌に栄養依存し、食物を摂取することがほぼない深海性二枚貝のシンカイヒバリガイと浅海性ミドリイガイを用い、自然環境での想定より高い1ミリリットル当たり約1億個のプラスチック粒子濃度で実験した。

えらを切り出し、MPとして蛍光標識した直径1マイクロ(マイクロは100万分の1)のポリスチレンビーズとともに24時間培養した後に観察すると、えらの表面側にある細胞に多く取り込まれていた。

さらに細胞の組織観察などの結果、MPは生体膜からなる小胞に包まれており、深海性、浅海性ともに二枚貝類が貪食により細胞内にMP粒子を取り込むことが示された。

これまで二枚貝類でMP粒子が経口摂取だけでなく体表から体内に入る可能性が示唆されていたが、その仕組みは不明だった。

日刊工業新聞 2022年11月02日

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