「無線水中ドローン」事業化へ、NTT系が1Mbps/300mの音響通信技術開発
NTT未来ねっと研究所の大森誓治主任研究員らは、毎秒1メガビット(メガは100万)の水中音響通信技術を開発した。通信速度が10倍以上向上した。ノイズの多い浅海域で300メートル先まで映像をリアルタイムに送れる。魚礁管理や洋上風力発電のメンテナンスなどに無線水中ドローンを利用できる。事業化に向け静岡市の海洋実証フィールドで実証実験を進める。
海面反射波などのノイズ除去技術で通信容量を拡大させた。海の浅い所では海面と海底からの反射波やテッポウエビの威嚇音が音響通信のノイズになる。
そこで16個の受波器を並べてアレーを構成し、反射波を取り除き直接届く信号のみを取り出す。アンテナの角度でなく、信号処理で送信側の方向からの信号を取り出せる。テッポウエビの威嚇音は信号波の1万倍大きい。このインパルスノイズを取り除く回路も実装した。300メートル先で毎秒1メガビットで、水中ドローンの映像を見ながら作業できる。
現在は有線ドローンが主流。通信ケーブルが漁具に引っかかるなど、ドローンの操縦以上にケーブルの扱いが難しかった。無線化で漁業や海上インフラ保守に使いやすくなる。NTTドコモとNTTコミュニケーションズと事業化を進める。
日刊工業新聞 2022年11月02日