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乱立するSUVカテゴリーでスバル「クロストレック」が目指したモノ

乱立するSUVカテゴリーでスバル「クロストレック」が目指したモノ

クロストレック

SUBARU 商品企画本部プロジェクト・ゼネラル・マネージャー毛塚紹一郎氏が語る

小型・中型スポーツ多目的車(SUV)のカテゴリーでは個性的なSUVが乱立しており、CROSSTREK(クロストレック)も個性の強化が重要と感じた。全面改良を機に、これまでは車名を日本市場では「XV」として販売してきたが、海外名「クロストレック」に統一する。より個性を際立たせ、若年層を中心に支持を得られるベーシックモデルとしてブランド力を高めたい。

長時間でも気持ちよく運転できるクルマを目指した。スポーツワゴン「レヴォーグ」などに取り入れている「フルインナーフレーム構造」をクロストレックにも採用した。同構造は先に組み立てたボディー全体の骨格に外板パネルを強固に溶接し、高剛性と軽量化を図っている。

構造用接着剤は塗布範囲を従来の累計約7メートルから今回は約30メートルに拡大した。ルーフパネルとブレース(補強材)の接着には制振性に優れた弾性接着剤を初めて採用し、剛性を高めるとともに走行時の乗り心地や静粛性の改善につなげた。

乗り心地では従来の振動計測によるアプローチに加え、大学の医学部と連携して人体構造にも着目した。運転中の頭部の揺れを低減するため、フロントシートには仙骨を支持し、体をしっかり支える構造とした。

SUBARU(スバル)が目指す「2030年死亡事故ゼロ」に向け、最新の安全装備を投入した。運転支援システム「アイサイト」に、日本仕様では初めて広角単眼カメラを採用。より広角での監視で自転車などの飛び出しにも対応し、予防安全性能を高めた。また、四つのカメラ映像を合成して車両周囲360度を映すマルチビューモニターも初採用し、安心して運転できる視界を確保する。

クロストレックはクロスオーバーとトレッキングをかけ合わせた造語。街乗りからアウトドアまで幅広く活用できるよう、頼もしくありながら身軽で躍動的なデザインを実現。使い勝手と居心地の良さを両立した。トレッキングをはじめ、サイクリングや旅行などクロストレックを通じて、さまざまな新しい体験をしてほしいという願いを込めた。

【記者の目/アウトドア志向で開拓】
 2010年の初代「インプレッサXV」発売以来、XV(現クロストレック)は高い実用性や安全性能が50代以上を中心に幅広い世代に支持され、SUV市場でスバルの存在感を高めてきた。今後はアウトドア志向などクロストレックならではの特徴を伸ばすことで、さらに個性的なクルマに進化させる方針。若年層ユーザーをいかに開拓できるかが販売力維持のカギとなる。(増田晴香)

◇クロストレック 標準グレード(ハイブリッド、AWD〈全輪駆動〉)
全長×全幅×全高=4480×1800×1575mm
車両重量=1550kg
乗車定員=5人
エンジン=水平対向4気筒
総排気量=1995cc
最高出力=145馬力(エンジン)、13・6馬力(フロントモーター)
変速機=電気式無段変速機
価格=未発表

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日刊工業新聞 2022年11月01日

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