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燃料価格高騰で大打撃…相次ぐ電力値上げ、どこまで

大手電力が相次ぎ電気料金の値上げに乗り出す。東北電力、中国電力、四国電力、北陸電力の4社が、国の審査が必要な規制料金について値上げの準備をしていることを28日までに公表した。電力各社は燃料価格の高騰で経営に大きなダメージを受けている。

電気料金は自由に料金を決められる特別高圧、高圧、低圧の自由料金と、料金改定には国の認可が必要な低圧の規制料金がある。規制料金は、燃料費調整制度(燃調)で燃料コスト上昇分の電気料金への転嫁に上限が設けられており、超えた部分は電力会社が負担する。すでに全10社が上限に達し発電コストが販売額を上回る逆ザヤ状態が続いている。

東北電力は2023年度早々に値上げしたい意向。申請する値上げ幅は震災後の13年に申請した11・41%を上回る見通し。総原価を見直すため自由料金も上がる。21、22年の2度の地震で複数の石炭火力が停止し燃料費の高いガス火力を焚き増したことも響き、23年3月期の当期損益は1800億円の赤字見込み。

中国電力は11月に申請予定で認められれば1980年以来43年ぶり。燃調の負担額は電気料金の3割以上になっており、23年3月期の当期損益は1390億円の赤字見込み。特高と高圧は23年4月に16―17%値上げする。

四国電力も規制料金値上げの検討を始めた。実施されれば13年9月以来。特高と高圧は燃調上限を廃止し、料金も4月に見直す。原発の再稼働で増益効果はあるが、23年3月期の燃調負担額は500億円で当期損益は250億円の赤字見込み。

北陸電力も規制料金を含むすべての電気料金を23年4月に値上げすると発表している。また、中部電力は23年4月に特高、高圧の標準メニューを7・9―9・8%値上げする。

日刊工業新聞 2022年10月31日

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