上場企業の「配置転換」倍増、コロナ禍で加速
東京商工リサーチ(TSR)がまとめた上場企業の「従業員の配置転換・再配置」調査によれば、2022年に配置転換などを実施した企業は9月末で64社に達し、新型コロナウイルス感染拡大前の19年の2倍超となった。19年以降の4年間で年間最多を更新した。
業種別では、店舗の撤退や統廃合が続く「銀行」が15社で全体の約4分の1(23・4%)を占めた。コロナ禍前の19年は5社で最多だった「電気機器」、同3社の「機械」は、20年以降は小康状態が続いている。
一方、「外食」や観光・宿泊を含む「サービス」「アパレル」「輸送用機器」、鉄道会社を含む「陸運」は、コロナ禍で実施企業が増えた。「輸送用機器」は21年以降、航空機部品の製造に関わる事業縮小に伴う配置転換が目立ち、世界的な渡航需要減の長期化が影響している。
上場区分別では、上場区分が変更となった22年は、大企業で構成されるプライム市場が9月末までに44社で構成比68・7%と7割弱の高水準で推移した。大企業では対面型サービスの外食、小売りと、レジャー・宿泊を含むサービス業での店舗撤退、閉鎖が相次いだ。鉄道や航空といった交通インフラで、コロナ禍以降の移動制限の長期化が経営に影響し、人員削減が急ピッチで行われた。
TSRは「こうした業種では、人員削減を進める一方、人材確保の観点から配置人員の見直しを同時に実施するなどしたことで公表企業数を押し上げた」としている。
調査は、従業員の配置転換や再配置の実施を情報開示し、具体的な内容を確認できた全上場企業を対象に分析した。
日刊工業新聞 2022年10月28日