トヨタとJERAが構築した「大容量蓄電システム」の全容
トヨタ自動車とJERAは、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)といった電動車の使用済み電池を再利用した大容量蓄電システムを構築し、運転を始めた。性能の異なる各種電池が混ざっていても制御でき、容量を使い切れる技術を搭載し実現した。2022年度内に一般家庭や工場などに配電する系統電力に接続する。両社は20年代半ばにも供給電力量約10万キロワット時の蓄電システムの導入を目指す。
蓄電システムはJERAの四日市火力発電所(三重県四日市市)内に設置した。供給電力量は1260キロワット時、消費電力は485キロワット。中部電力パワーグリッド(名古屋市東区)の系統に接続し、系統用蓄電池として充放電運転を行う予定。
トヨタのHVやEV、燃料電池車(FCV)などに搭載されたリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池を混載した。充放電量を任意に制御できる「スイープ機能」を搭載し、性能や容量の差が大きい使用済み車載電池を利用できるようにした。電池の劣化状態や異種電池の混合に関係なく容量を使い切れる。同機能の応用でコスト低減や効率向上も図れる。同機能を使った蓄電システムを系統電力につなげるのは世界初という。
日刊工業新聞 2022年10月28日