ジーマックスがペルチェ素子を中国で65%増産する狙い
ジーマックス(東京都港区、高井淳治社長)は、年内にペルチェモジュール(素子)の生産能力を従来比約65%増の年500万個に引き上げる。中国生産子会社である秦皇島富連京電子(河北省秦皇島市)の既存敷地内で完成した新工場棟に順次、設備を導入する。投資額は3億円弱。電気自動車(EV)や半導体製造装置などの市場拡大を踏まえ、これらの冷却用途で使われる同モジュール需要の急増に対応する。
ペルチェ素子は電流で冷却や加熱、微妙な温度制御も行える半導体素子。フロンなどの冷媒が不要で環境負荷が小さく、静かなことが特徴。産業機器や医療機器、食品ショーケース、ホテルや病院の冷蔵庫などに使われている。
中国EV大手向け車載機器の冷却用途で需要が大きく伸びているほか、国内外の半導体製造装置大手が手がける同製造装置用チラー(冷却水循環装置)向けなども好調。当初想定より需要が多く、フル生産状態のため、増産体制の構築を急ぐ。
新工場棟は2020年に稼働した既存棟の隣に位置する。4階建てで、延べ床面積は6712平方メートル。新工場棟の稼働に伴い、ダイシングやシーリング、メッキ廃液処理といった設備が増強され、組み立てスペースも拡充となる。加えて、新工場棟には、秦皇島市内にあった旧工場からの生産移管も順次進めていく。材料からモジュール、ユニット生産までの一気通貫の強みと、新工場棟による増強投資で生産性を向上する。
ジーマックスはペルチェ関連の研究・製造販売と、小型冷蔵庫や電子冷蔵庫の製造販売のほか、ワインセラーの輸入販売なども手がけている。21年度の売上高は前年度比約65%増の約25億円。
日刊工業新聞2022年10月24日