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理研など開発、ガラス微細流路に水を流して発電するデバイスの仕組み

理研など開発、ガラス微細流路に水を流して発電するデバイスの仕組み

発電パーツ(上)とガラスフィルター(理研提供)

サムスン日本研究所(横浜市鶴見区)の田中陽シニアプロフェッショナル(研究当時理化学研究所)と奈良先端科学技術大学院大学のヤリクン・ヤシャイラ准教授、東京電機大学の釜道紀浩教授らは、ガラスの微細流路に水を流して発電するデバイスを開発した。流路の前後で酸化還元反応が起こり、4・8ミリワットの電力が得られた。足踏みなどを利用して発電できる。

ホウケイ酸ガラスの粉末を焼成しガラスフィルターを作製する。粉末の大きさや焼成時間を調整し、平均細孔径が数マイクロ―十数マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のフィルターを作り、水に圧力をかけて通過させる。ガラスの表面がマイナスに帯電するため水素イオンのみが通過する。

ガラスフィルターの前後に配線すると水素イオンからの水素生成と水酸化物イオンからの酸素生成が起き電流が生じる。平均細孔径12マイクロメートルのフィルターでは電圧27ボルト、電流0・14ミリアンペア、0・8ミリワットの電力が得られた。発電効率は0・021%だった。

体重を利用して水を流すデバイスを作製すると、平均細孔径8マイクロメートルのフィルターで電圧18ボルト、電流0・26ミリアンペア、4・8ミリワットの電力が得られた。発電効率は0・017%。LEDの点灯やコンデンサーへの蓄電、無線通信などに成功した。原理的には靴底の中に入るサイズまで小型化できる。

日刊工業新聞2022年10月24日

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