日本の物流・建設会社と協業も…仏社が開発する「次世代飛行船」の全容
仏フライングホエールズは、開発を進める物資運搬用の大型電動飛行船について、日本を含むアジア太平洋地域に最終組み立て工場を設置する計画を明らかにした。2023年に建設に着手する仏ボルドーとカナダ・ケベック州に続く3番目の工場となる。同時に日本ではパートナー企業や投資家、荷主となる顧客も開拓する。
「CEATEC2022」に合わせて来日したミシェル・ルノー販売マーケティングディレクターらが日刊工業新聞の取材に応じた。工場立地先は日本、韓国、豪州などを念頭に選定を進める。協業相手として日本の物流・建設会社と商談に入っているという。
24―25年の初飛行を目指して開発中の次世代飛行船「LCA60T」は全長200メートル。最大60トンの物資を運搬できる。山間地や不整地でもヘリウムガスの浮力で空中に浮いたまま、送電設備部材や災害救助物資などを積み下ろし可能。32年までに世界152カ所に飛行基地を整備する計画で、23年にも運行を担う別会社を設立する。
当初の推進機構は液体燃料とタービン発電機で発電し、モーターでプロペラを回すハイブリッド式。脱炭素を進めるため、次の段階でグリーン水素と燃料電池(FC)に移行する。FCシステムについてはケベックの子会社が協業先と機体への統合に取り組む。「航空産業向けに最良のシステムを求めている」(ルノー氏)として日本からの技術導入にも期待を寄せる。
同社は12年創業。機体製造に向けて6月に3回目の資金調達をクローズ。フランス政府、ボルドーのヌーベル・アキテーヌ地域圏、モナコ、ケベック州などの各政府系ファンドの出資を含め、1億2200万ユーロ(約180億円)を調達した。
日刊工業新聞2022年10月20日