トンネル工事で大活躍、大林組が開発した「無人走行車」の役割
大林組は、遠隔操作によってトンネルの切羽(掘削面)と吹き付けコンクリート面の出来形測定・作業監視を行わせる無人走行車(UGV)を開発した。出来形を測定するスキャナーと作業状況を監視する切羽用カメラに加え、前後左右に移動用カメラ4台も搭載。これらの映像を無線LANで伝送することにより、最大400メートル離れた場所からの操作を可能にした。
開発したUGVは縦1・2×横1・0×高さ1・5メートル。地下水や小岩の塊などがあっても走行できるため、作業員は切羽や重機に近づかずに定量的に出来形の測定や品質管理を行える。同社はUGVを山岳トンネル工事の安全と品質、生産性向上を目的に開発している統合システム「OTISM」の構成技術と位置付け、全国の建設現場に導入して実績を積み上げる方針。
山岳トンネルの工事では一般に、掘削や吹き付けコンクリートの出来形を目視で確認する。だが目視での確認は作業者の経験に左右される面が大きく、定量的な判断ができない課題があった。また、出来形の確認や作業の監視は作業員が切羽や重機の近くで行う必要があることから、土砂や岩盤が崩れる「肌落ち」や重機への接触といった災害が発生するリスクがあった。
日刊工業新聞2022年10月19日