旧三洋の半導体事業を買収したオンセミが日本でさらに攻める

出資している富士通の工場の能力倍増へ

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オンセミコンダクターの動画サイトから(ユーチューブより)
 米オン・セミコンダクターが、日本で設備投資を活発化している。2016年末までに福島県にある富士通グループとの合弁工場の生産能力を約倍増させる計画を打ち出した。15年には旧三洋半導体の新潟工場(新潟県小千谷市)の増強も実施した。背景には車載向けや、モノのインターネット(IoT)向け半導体の市場成長がある。オンセミは日本事業を、世界市場を狙うための柱の一つに位置付けて強化していく。

 オンセミは三洋電機の半導体子会社を11年に買収し、日本での事業基盤を強固にした。現在は「システム・ソリューション・グループ(SSG)」として運営し、その主要拠点である新潟工場ではモーター制御IC、モバイル機器向けの電源管理ICなどを生産する。15年には同工場の生産能力を10%程度引き上げた。

 また15年には富士通グループの会津富士通セミコンダクターマニュファクチャリング(福島県会津若松市)に10%出資し、工場の共同運営に乗り出した。

 すでに「計画を前倒し」(マムーン・ラシードSSG上席副社長)する形で、3種類の生産プロセスでの量産をスタートさせた。さらに新しいプロセスの開発を始めており、16年末までに月産能力を現行比約2倍の1万5000枚超に引き上げる計画だ。

車載分野の取り込みから次はIoTへ


 オンセミは車載、通信、産業を重点分野としており、この3分野で売上高の約7割を占める。自動車や産業機器の有力メーカーが集積する日本はオンセミにとって重要市場となっており、生産と開発の両面で重点投資している。

 日本事業は営業面でも堅調に推移している。15年は車載分野では画像センサーを核に周辺の半導体の売り込みに成功。産業分野は売上高の伸びは少ないものの「新規受注が伸び、将来の種まきができた」と、日本法人の雨宮隆久社長は手応えを示す。


 今後、期待するのはIoT分野だ。コーポレートストラテジ&マーケティング担当のディビッド・ソモ副社長は「まずはネット化による工場の生産性向上と、物流現場の効率化を図る動きが活発化する」と指摘。その上で「当社の幅広い製品ポートフォリオなどを生かし需要を取り込みたい」と話す。

 オンセミが、日本事業を強化する中で、今後、富士通グループとの合弁工場の取り扱いが一つの焦点となる。「今は(出資を引き上げる)具体的なスケジュールはない」(ラシード上席副社長)と語るが、「将来、出資比率を増やす権利を有する」(同)だけに業界の注目を集める。
(文=後藤信之)

日刊工業新聞2016年1月28日 電機・電子部品

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後藤信之
編集局第一産業部
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旧三洋半導体を母体とするSSGを率いるラシード上席副社長には、過去3年にわたり毎年インタビューしている。旧三洋半導体のリストラに取り組んでいた13年は浮かない顔だったが、今回の明るい表情からは成長への手応えが感じられた。ソモ副社長は「年100回は日本に来ている」のだとか。これはジョークだとしても自社の日本事業、そして日本の半導体産業への関心は高い様子。日本企業と連携する事例が増えるかもしれない。 (日刊工業新聞社第一産業部・後藤信之)

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